さよならコレト――レフィル交換式多色ペンレビュー
気に入ったものはしつこく使い続ける性格だ。文房具はその最たるもので、かれこれ5年近くレフィルが選べる多色ペン・ハイテックCコレトを改造して持ち歩いていた。受験生時代はジャラジャラと持ち歩いていたペン類(無印良品の選べるリフィルペンシリーズ)を、大学生らしくひとまとめの5色ペンにしたのである。
特許も取得しているだけあって、ノック部分に色が付いていて分かりやすいのがコレトの特徴。他の選べる系多色ペンには無い唯一無二の強みだ。私が今までコレトに固執してきたのも、この為である。
もちろん欠点もあって、一つはインクの減りがすさまじいことだ。これは本来スタイルフィットのレフィルであるジェットストリーム芯をコレトボディに無理矢理装備することで解決した。水性インクのコレト芯よりも、ハイブリッドぬるぬる系インクのジェットストリームの方が断然もつ。
もう一つの欠点が、ボディの耐久性。私は尋常じゃなく筆圧が強い。と言うか、ペンを握る力が強い。残念ながらコレトボディは私の握力に耐えきれず、数か月も使用すれば中央の接合部分から亀裂が入っていく。この5年間で何度コレトボディを買い替えたか分からない。ボディもレフィルと同様に消耗品だったのだ。
そして先日、数度目かのコレトボディご臨終を迎えた。これを期に、思いきって最近気になっていた新たな多色ペンを購入したので比較してみる。
選べる系の中でもマイナー筋と言える、ぺんてるの「アイプラス」5色ボディ。
みんな大好きタイヤグミもハリボーシリーズ。オエーーッ!!
肝心の使用感だが、握った感じはコレトボディ5色用よりも若干太めで頑丈そう。握り部分に滑り止めなど付いていないので、疲れやすいかもしれない。
書いてみた。ノートはLIFEのバーミリオン。
なんと色がほぼ同じ!グリーンの発色はアイプラスの方が鮮やかなくらい。これは良い選択をしたぞ。
あとはコレトと比べてペン先が強そうなこともプラスポイント。昔のハイテックCからそうだけど、すぐペン先が潰れたり、ボールが動かなくなったりするのよね。
こちらは既に1週間ほど使用しているが、軸も太くなく快適な使い心地。意外とノック部分で色が分からないというのは、慣れで何とかなるのかも。あれば便利っちゃ便利なんだけど。
文房具入れにまとめてブチ込んでみる。イイ感じ。
ちなみにアイプラスはお尻部分にイヤホンジャックを装着することもできる。ハリボーのイヤホンジャックなんて付けたら素敵じゃないですか(プレスリリースを見る限り、公式も意図している模様)。ハリボーグッズをやたらと置いているサンキューマートで探してみようかなと夢も広がりんぐ……。
百科事典としての音楽
明日は最終面接なのだけど、現実逃避にひとつ。
昨日、挫・人間のインストアイベントに行ってきた。
自分が邦楽インディ、引いてはサブカル沼へズブズブになる原因となったバンドだ。
NUMBER GIRLも筋肉少女帯も彼らから知ったのだった。
フロントマン下川君がジャンプをするたびに「甲本ヒロトだ!」となったし
せわしなく手を振りながら呪詛を吐くたびに「大槻ケンヂだ!」となった。
彼が様々なレジェンドの亡霊を背負っているように見えたのだ。
昨日はアコースティックセットだったけれど、
まあ、ここに挙げた人はみんな生きてるんだけど。
就活なんぞしていると、面接で「何故バンドをやるのか?」と訊かれることがある。
訊いて何になるのか謎だが、自分がパンクやロックなどやりそうにない地味な見た目だから気になるのだろう。
たいがいは「全員で最初の一音を合わせる、その瞬間がたまらない」と答える。
では、もっと遡って音楽は?
「1曲を通してその作者の触れてきたモノが見えるから」
ずいぶん昔に、バイトの面接でそう答えた覚えがある。
なんとなく、ぼやっとしたイメージで答えたのだが、
こういう元ネタ至上主義的な聴き方を自分に教えたのは、ニューミュージック好きなサークルの先輩だ。
音楽を聴きながら、このフレーズは誰それのあの曲、この歌詞はあの文学作品の冒頭、
などといちいちやるのである。シチメンドクサイと思う人間もいるかもしれない。
彼が色々な曲でそれをやるので、話を聞いているうちにすっかり身についてしまった。
「俺は全く新しいモノを作りたい」と思っているミュージシャンにとっては、煙たい音楽オタクかもしれない。
しかし1曲を辞書として、多くの創作品を知ることが出来る聴き方だと思う。音楽だけじゃない、文学作品や映画も含めて。
たぶんアーバンギャルドの全曲でやったら、結構なサブカルモンスターになれると思う。
松永天馬の膨大な知識とそれを啓蒙したい欲望が一曲一曲に込められているからだ。
熱心なアーバンギャルやギャルソンの方には是非やってみて欲しい(どうなるか見てみたい)。
もっともこういう聴き方をするには、「○○からの引用だ」とそもそも気付く必要がある。
「もっと引用に気付きたい!」という変な動機で、あらゆる音楽を聴き漁る音楽オタクになってしまった人間もここにいるが
「Aというバンドが好き」→「そのバンドのルーツを聴く」→「あらためてAを聴く」→「引用に気付いて恍惚」
というプロセスを踏むことは、作者の嗜好をトレースするようで本当にオタクとして楽しいのである。
一番手っとり早いのは、近くに詳しい人がいることだが。
我らがオーケンがどこかのエッセイで、
「世の中こんな面白いものがありますよ、と紹介するのがサブカル者の仕事」
といった話をしていた。
自分が好きな音楽は、やっぱりたくさんの面白いモノを紹介してくれる音楽なのだ。
好きなバンドだけ追っかけるのもいいけどさ、もっと彼らの音楽を深く掘ろうぜ。
イベントが終わったあと、「挫・人間に憧れて、ナンバガのコピバンやります!」という途中にあるべき文を3つくらいスッ飛ばした話を彼らにしてしまった。
嘴が短くて困る。